いわき市平地区の医療・介護関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開かれました。介護施設の介護支援専門員(ケアマネジャー)が、特別養護老人ホームに入所するまでの流れを発表。認知症ミニ講話では「認知症バリアフリー」の取り組みが共有されました。
● 入所の課題も共有
医師、歯科医師、薬剤師、ケアマネジャー、介護職員、地域包括支援センターの職員ら35人が参加。1月20日に開催されました。発表者の施設ケアマネジャーは「特別養護老人ホーム入所までの流れ〜居宅ケアマネジャーとの関わり」と題して現状や課題を語りました。入所者を決める判定会について、判定資料は本人・主介護者・サービス利用の各状況を基に作成され、3カ月ごとに第三者を交えて判定会が開かれていると説明。欠員が出たら上位から入所する流れだといいます。入所に関する問題では、身元引受人が不在の時は時間が掛かると語り、成年後見人のほか施設で対応したケースもあるといいます。「今後成年後見人やNPO法人の身元保証人の利用が増えるだろう」とも。入所待機者が他の施設に入所しても連絡がないために、待機者数が減らずに増える問題も共有しました。
● 参加者が意見交換
発表後、参加者が意見交換。ケアマネジャーから「ケアマネジャーからの入所申し込みは多いか」との問いに、発表者は「半々くらい」。別のケアマネジャーからは「第三者委員は一般の方か」という質問には、発表者の施設は住職が担当し「一般的に地区の事情を知っている方が務める」と回答。医師からは施設での看取り状況についての質問があり、発表者が様々な対応事例を紹介。歯科医師からいわき市の入所順番待ち事情について問われると、発表者は「早い方は半年で入れたり、何年も入れない方もいる。ほかの施設でも同様だと思う」と回答。市地域包括支援センターの職員は「虐待のケースですぐに入所してもらわないと命に関わる場合は、早く入所させてもらうよう努力する」と、特別な場合の例を補足しました。
● 認知症バリアフリー
認知症ミニ講話では、いわき市平地域包括支援センターの認知症地域支援推進員が「認知症バリアフリー」と題して発表。厚生労働省や経済産業省が事務局を務める「日本認知症官民協議会」のほか、認知症でも日常生活を送るのを助ける製品やサービスの開発・普及をめざす「認知症イノベーションアライアンス」の例を紹介。その一つ、岩手県滝沢市のスーパーマーケットの取り組み事例では、ボランティアが店内を付き添う「スローショッピングとパートナー活動」、購入実績リストを家族らと共有できる支援アプリの開発導入例を共有しました。いわき市のケースでは認知症当事者とバス事業者が連携する事例が紹介されました。平在宅療養多職種連携の会の山内俊明会長(医和生会山内クリニック院長)は、地域住民と協力した見守りの重要性を話し「平地区が認知症のバリアフリーエリアとなれるよう、みんなで協力して頑張っていこう」と呼び掛けました。
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