医和生会(いわきかい)山内クリニック近くの理美容専門学校「iwakiヘアメイクアカデミー」の生徒がこのほど、同校で認知症のVR体験をしました。感性豊かな生徒たちはバーチャル・リアリティ技術によって驚きの声を上げ、認知症の方が見る世界に入って気持ちを感じていました。
● 開催の経緯
医和生会はこれまで、同校生徒を介護施設に招いてご利用者様にメイクセラピーを行ったり、職員が同校で認知症講話を開いたりして交流しています。今年も講話するにあたり去年とは違う内容にしようと、いわき市地域包括ケア推進課が主催する「VR認知症体験」を企画しました。この体験は、受講者がVRヘッドセットを装着することで360度広がる世界に入り、認知症の方目線で動画が流れるというもの。生徒31人が講師役の同課の職員から講話を受けました。
● 問題行動だと思わないで
生徒は認知症のイメージを考え、代表者が発表。「会話が成り立たない」「何をするか忘れる」などの意見が出ました。講師は「認知症は一人一人グラデーションのように度合いが違う」と説明。認知症には物忘れなどの「中核症状」と暴言やうつといった「行動・心理症状」があること、風邪のように自分が経験したことがないので認知症の方の辛さを理解しにくく、共感を抱きにくいと説きました。そこで生徒はVRヘッドセットを装着。認知症の中核症状の一つ、視空間失認を疑似体験できるプログラムを視聴し、自分だったらどのように感じるか、どう接してもらったら嬉しいかと想像します。講師は、認知症の方が叫んだり暴力をふるうことは「問題行動」と解釈されがちですが、そうした行動や言葉には必ず理由があると生徒に気づきを促し、認知症の方の気持ちに立つ大切さを呼び掛け。認知症の方の言葉をそのまま繰り返すことで、「あなたの気持ちを受け止めましたよというメッセージとなる」と傾聴のコツをアドバイスしました。
● VR体験の出前講座を申し込み中
生徒はこのほか、見当識障がいの体験と、幻視体験のVRを視聴。認知症の当事者のインタビュー動画も見て、認知症への理解を深めました。同課は地域活動やボランティア活動をする団体、教育機関など、市民向けにVR体験の出前講座を開催しています。同課職員は「認知症を他人事ではなく、自分の事として感じられるようになってほしい」と呼び掛け、体験の申し込みを受け付けています。詳しくは市ホームページ:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1601877775483/index.html
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