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投稿:2022年11月25日更新:2022年12月26日

多職種連携・地域連携

1143. 甲状腺診断のコツを学ぶ・平在宅療養多職種連携の会

いわき市の医療・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開かれました。甲状腺の専門医が甲状腺診断をテーマに発表。聴講した医療関係者はメモをして日頃の診断で甲状腺の病気に気づくポイントを確認しました。

 

● ホルモンを作る臓器

医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、地域包括支援センター職員ら22人が参加。11月17日に開催されました。医師が「高齢者における甲状腺診断のコツ」と題し発表しました。「甲状腺はホルモンを作る臓器」と説明。オタマジャクシから甲状腺を取るとカエルになれないという実験結果を紹介し、ホルモンは発育に欠かせない成長に重要なものと解説しました。ただ、甲状腺ホルモンが多くなると、食べてもやせる、汗が出る、手が震える、脱力、下痢といった症状が、逆に少なくなると、体重が増える、むくむ、疲れやすい、うつ的、脱毛、寒がる、便秘といった症状が、それぞれ出てくるとアドバイスしました。

 

● ホルモンが作られるメカニズム
甲状腺診断に大事な知識として、喉ぼとけの下辺りにある甲状腺の位置や、「特定の内分泌細胞より分泌される科学的情報伝達物質」というホルモンの定義も紹介。ホルモンは脳の視床下部からの命令を受けて下垂体で作られ下垂体前葉から分泌されるメカニズムも説明。甲状腺ホルモンは海藻にたくさん含まれるヨード(ヨウ素)を摂取すると作られ、日本人はヨードを摂取し過ぎる民族だと解説しました。

 

● バセドウ病、橋本病
貯蔵型ホルモンや活動型ホルモンなど抗体名を交えて、甲状腺の診断で必要な専門知識も紹介しました。甲状腺ホルモンを過剰に分泌する「バセドウ病」の診断の注意で、「甲状腺ホルモンが多いのはバセドウ病だけではない。診断に迷うときは、専門医に任せてほしい」と強調しました。また「甲状腺診断に超音波検査は必須」とも呼び掛け、専門外の病院で超音波検査をせずにがんを見落としていた事例も挙げました。自分で自分の甲状腺を攻撃してホルモンが作れなくなる「橋本病」についても解説。甲状腺機能が低下したから海藻を取るといいように思いがちでも、「橋本病ではヨードを多く摂取するとなぜか甲状腺ホルモンを作る機能がさらに低下する」と、コンブの取り過ぎを注意。そのほか、バセドウ病や橋本病の特徴を説明し、「甲状腺で分からないことがあればご相談ください」と呼び掛けました。

 

● 参加者と意見交換

発表後の意見交換で、発表した医師は参加した研修医に「救命救急の現場で意識消失の患者 が来たら甲状腺ホルモン低下症も頭に入れて」と、専門的な対処法も交えてアドバイス。別の医師は、まゆ毛が抜けているなど甲状腺機能低下症の特徴も補足して紹介しました。薬剤師は、ある甲状腺の薬を飲み続けている高齢患者について検査を勧めた方がいいかなどの質問をし、医師から助言を受けていました。そのほか、甲状腺の病気と遺伝の関係の話題が出たり、若い医師に検診のポイントを指導する場面もありました。発表した医師はいわき市唯一の甲状腺の専門医で、薬剤師やケアマネジャーら専門職から甲状腺で分からないことがあればこれからも相談を受け付けると、多職種連携を呼び掛けました。

 

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