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投稿:2022年12月27日

いわきの医療 いわきの介護 多職種連携・地域連携

1149. 急性期病院と在宅医療を考える・平在宅療養多職種連携の会

いわき市の医療・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開かれました。医和生会(いわきかい)医療部の鈴木部長が急性期病院の地域連携と医和生会の在宅医療をテーマに発表。地域連携の力が弱いという急性期病院とも力を合わせ、参加者は急性期から慢性期までのいわき市の地域医療のレベルアップに向けて気持ちを新たにしました。

● 医和生会の在宅医療も紹介
医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、地域包括支援センター職員ら25人が参加。12月15日に開催されました。発表者の鈴木部長は、かつて勤務していた高度急性期病院「いわき市医療センター(旧磐城共立病院)」の地域連携の現状と、医和生会で取り組んでいる在宅医療をテーマに発表しました。

● 「時々入院、ほぼ在宅」
鈴木部長は、高齢化が進む一方で人口の減少が進んでいる国の人口をデータで示し、2025年には一人暮らし・高齢者夫婦のみの世帯が約7割を占める予測で、国は7対1病床を削減して在宅医療を推進している動向を共有しました。それらを踏まえ、急性期病院では在院日数の短縮化が進んで「時々入院、ほぼ在宅」の医療を目指し、治療後は「医療」から「介護」、「病院」から「地域」に移行して、在宅で看取りができるよう国が動いているロードマップも紹介。そのような背景で、いわき市医療センターが提供している医療や地域連携の現状を伝えました。

● 望みをかなえる訪問診療
医和生会で取り組んでいる在宅医療について、鈴木部長は外来の山内クリニック、訪問診療、「コスモス訪問看護ステーション」を紹介。山内クリニックでは通院困難になった患者様をケアマネジャーや訪問診療につなげているとも。訪問診療は患者様の願いをかなえるため、「娘の花嫁衣装を見たい」という末期がんの在宅患者様には式場とオンラインで繋いで実現させた事例も紹介しました。いわき市の終末期治療の意思を書き残す「わたしの想いをつなぐノート」に望みを記入したがんの患者様の事例も。そこに記載されていた「自宅で最期を迎えたいが、看病する妻を考えて状態によっては緩和病棟で」「痛まないで往生したい」などの想いを受け、奥さんも支えながら自宅で痛みのないように看取りを実現させたことを発表しました。このように医和生会の訪問診療が去年看取った件数は73件と伝えました。

● ご家族の不安を取り除くために
「コスモス訪問看護ステーション」の紹介は、終末期の患者様のご家族が安心してもらうための支援を説明。死期が迫っての容体の変化を事前に伝え、患者様の負担になる検査・治療を見直すといったケアの工夫を紹介しました。ここ数年で「延命を望まず自宅で最期を迎えたい」と願う患者様が救急車を呼んだ例はないとも。死期が迫って怖くなり救急車を呼ぶと望まない延命処置を施される可能性があり、望み通りになるよう、「コスモス」ではご家族に「救急車を呼びたい時は『コスモス』に連絡してください」と常に呼び掛けていると紹介しました。そのほか、地域包括ケアシステムや退院調整ルールの流れなどを説明。急性期病院の看護師は地域との連携が希薄の傾向にあるといい、退院前合同カンファレンスへの参加を呼び掛けました。

● 急性期病院との連携へ
発表を聞いたケアマネジャーは、コロナ禍で急性期病院との退院時の連携が弱くなったと指摘し「前日に退院の連絡がくるようになり、病院で専門職の担当者が集まることができなくなった。自宅に帰ってから本人の状態を見るようになり、以前よりも支援が遅れている」と連携の課題を共有しました。地域包括支援センターの職員は「コスモス」が取り組んでいる小児の訪問看護について質問し、「コスモス」の看護師が医療的ケア児の看護や母親が留守中の見守り、介護ヘルパーとの連携について話しました。平在宅療養多職種連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)は、いわき市の急性期から慢性期までの医療の底上げを目指し「医療センターとどう連携していいか分からない時は相談してほしい」と呼び掛け。鈴木部長もかつて医療センターで働いていたこともあり「医療センターからも地域連携の相談を受けたら互いに協力し合ってレベルアップしていきたい」と語りました。

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