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投稿:2019年08月01日更新:2019年09月27日

633. 「いつだれキッチン」、介護予防事業などに意見・いわき市地域包括ケア推進会議

本年度1回目のいわき市地域包括ケア推進会議(※1)がこのほど、いわき市総合保健福祉センターで開かれました。委員の有識者が「いつだれキッチン」や、入居・葬送の身元保証支援、介護予防事業などの経過報告を受け、様々な意見を出しました。

 

※1 市地域包括ケア推進会議とは

「団塊の世代」が75歳を迎える2025(平成三十七)年には、全国で約3人に1人が高齢者になり、認知症者が700万人に上ると予想されています。この超高齢化社会を見すえて国は、お年寄りたちが住み慣れた地域で自立した生活を送れるよう「医療・介護・予防・住まい・生活支援」を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を進め、全国各自治体は「努力義務」として「地域ケア会議」を設置し取り組みが進んでいます。いわき市も2015年、「個別ケア会議」「小地域ケア会議」「中地域ケア会議」「市地域包括ケア推進会議」の主に4会議でつくる「市地域ケア会議」を設置(※図)しています。

※図

 

● 本年度の委員は24人

市内の有識者でつくる本年度新たな委員は、市医師会の山内俊明理事(当法人山内クリニック院長)を含めた24人(※2)。本年度初の推進会議は7月17日に開催されました。「地域包括ケアシステム」を構築する上で重要な「本人の選択と本人・家族の心構え」「すまいとすまい方」「介護予防・生活支援」など(※3)のテーマに沿った市の事業が事務局から報告され、委員が意見を述べました。

 

※2

 

※3

 

● 「本人の選択と本人・家族の心構え」の取り組み報告

今年1月から要介護になりそうなお年寄り(ハイリスク者)の把握を実施。「75歳以上」「男性」「独居」「市民税非課税」「介護認定なし」「生活保護受給なし」の全条件を満たすハイリスク者は市内で298人いるのが分かり、地域包括支援センターの職員が個別訪問。そのうち18.5%に当たる55人が「継続支援が必要」と確認されました。今後ハイリスク者をより早期発見できるよう、抽出方法を精査してスクリーニングの精度を高める方針。

 

障がいや年齢も関係ない交流の場として今年5月にオープンした「いつだれキッチン」(※4)の報告もありました。現在は週1回、3時間ほどの運営で、委員からは開催日・運営時間の拡大や「いわきは知らない人に声を掛けるのが苦手な地域。気軽に話せる空気感をつくってほしい」という期待の声が出ました。

 

※4

「いつだれキッチン紹介記事」 2019年6月12日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1229/

 

● 「すまいとすまい方」の取り組み

「身元引受人」や「連帯保証人」、身寄りのいない低所得者を支えようと、今年4月から始まった「入居・入所、葬送等支援事業」の経過を報告。事務局のNPO法人地域福祉ネットワークいわき、市、社会福祉法人や不動産業者などの構成員らが連携し、入居・入所、火葬・埋葬につなげる取り組みです。先月6月末日時点、相談件数が33(入居12、入所17、葬送1、その他3)件のうち、契約に結び付いたのは7(入居2、入所5)件でした。

 

 

● 「介護予防・生活支援」の取り組み

元気なお年寄りが集まる「つどいの場」(※5)の数と参加日人数はそれぞれ、442カ所と9319人(いずれも今年3月末)で、前年同月末より29カ所、286人増えました。国は2020年度末までに参加率6%を目指しており、いわき市は9.58%で目標を達成しています。事務局は「引き続き開催頻度を増やして生活支援の創出の支援をしていきたい」と述べました。

 

※5  <つどいの場関連記事>

「常磐地区の『いごくBOX』」 2019年4月13日投稿:https://iwakikai.jp/blog/343/

「遠野地区の上遠野小」 2019年3月23日投稿:https://iwakikai.jp/blog/306/

「内郷・宮2区」 2019年3月28日投稿:https://iwakikai.jp/blog/312/

「内郷・高坂9区」 2019年3月24日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1117/

 

専門職からケアプラン作成の助言を受ける「介護予防ケアマネジメント支援会議」(※6)は、始まった2017年度秋から先月6月末までの開催数と検討件数がそれぞれ77回と297ケースでした。課題ではアドバイスを実行できる「介護事業所の指導力・スキルアップ」と「ケアプラン作成者のケアマネジメント力向上」が挙がりました。対応策として会議から3カ月後に助言の有効性を事例提供者に確認し、来年度以降アドバイスを実践的に取り入れるための介護関係者向けの研修会を開く計画です。委員からは事業所に出向いて直接指導する案や、この会議によってお年寄りの生活がどう変わったかの評価の必要性が挙がりました。

 

※6 ケアマネジメント支援会議の記事

「開始3カ月後の会議」 2018年1月24日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1502/

「開始約1年後の会議」 2018年10月11日投稿:https://iwakikai.jp/blog/656/

 

専門職による個別の機能改善プログラムを実施する「通所型短期集中予防サービス」は、いわき市金山町の「ショートステイ未来月見台」で実施中。3~6カ月間、要介護の恐れのあるお年寄りが各々立てた自立支援の目標達成をめざします。今年3月末現在、プログラムを受けた50人のうち35人が「つどいの場」などの地域活動に移行しました。委員から参加事業所が少ないとの指摘に、事務局は今後説明会を開いて呼び掛けていくと答えました。

 

市社会福祉協議会が支援する「住民支え合い活動」(※7)は今年5月までに7増の29行政区が参加。4年度目の取り組みとなった「いきいきシニアボランティアポイント」(※8)は昨年度の参加人数、受け入れ機関数がそれぞれ799人、142カ所で初年度から増やしています。

 

※7

「住民支え合い活動づくりとは(いわき市HP)」:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1466665139960/index.html

 

※8

「いきいきシニアボランティアポイントカード紹介記事」 2017年6月7日投稿:https://iwakikai.jp/blog/995/

 

● 「医療・介護の連携」「認知症」の取り組み

要介護の患者を退院後すぐ在宅生活に移行させる連絡体制「退院調整ルール」(※9)は、運用から1年半で71.6%に上昇。医療や介護関係者の連携調整を支える「いわき市在宅医療・介護連携支援センター」(※10)は、相談受付が今年5月に3件、6月に4件でした。「いわき市介護事業所協議会」(※11)については、同協議会に関わる委員から訪問介護事業所の参加が低い悩みが出ました。そのほか、今後の推進会議の運営に関し、委員から「中地域ケア会議」で解決できない課題を共有して議論する場にできないかという提案もありました。

 

※9

「退院調整ルールを協議している市地域包括ケア推進会議の『医療と介護連携促進部会』」 2019年2月1日投稿:https://iwakikai.jp/blog/184/

 

※10

「市在宅医療・介護連携支援センターを協議した市地域包括ケア推進会議の『医療と介護連携促進部会』」 2019年3月29日投稿:https://iwakikai.jp/blog/314/

 

※11

「いわき市介護事業所協議会の発足半年」 2019年2月14日投稿:https://iwakikai.jp/blog/644/

 

【関連情報】

「いわき市地域包括ケア推進会議とは。過去の議事録も見れます(市ホームページより)」:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000000097/index.html

 

【関連記事】

<市地域包括ケア推進会議関連の記事一覧>

https://iwakikai.jp/blog/?c=%e3%81%84%e3%82%8f%e3%81%8d%e5%b8%82%e5%9c%b0%e5%9f%9f%e5%8c%85%e6%8b%ac%e3%82%b1%e3%82%a2%e6%8e%a8%e9%80%b2%e4%bc%9a%e8%ad%b0

<その他>

「厚労省の前事務次官 地域包括ケアの方向性を講演」 2019年7月10日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1423/