〒970-8036 いわき市平谷川瀬一丁目16-5

0570-080825

ブログ

BLOG

2021年08月31日

山内クリニック コラム - 岩井淳一 救急救命

1025. 「救急の日(9月9日)」直前特集~コロナ禍で逼迫する救急現場から~

現在、いわき市では新型コロナウイルス感染者数が1日当たり40人前後の状況が続いています。100人超える感染者数が確認された日もあり、感染拡大に歯止めがかかりません。救命救急センター(いわき市医療センター内)の非常勤医師でもある当院の岩井淳一医師に、救急現場では今、何が起きているのか聞きました。(令和3年8月20日取材:事業推進室・皆川歩美)

 

Q.救急現場は今、どんな状況ですか?

A.本当に厳しいです。当たり前に受けられたはずの医療が受けられないと思ってください。いわきはもともと人手不足で、コロナが流行する前から、救急患者の搬送先が見つからず、救急車の中で1時間も2時間も待つこともある地域です。今は、コロナ疑いのある患者は対応できない病院もあるし、院内で感染が確認されて救急診療を休止する病院もある。コロナに感染している・していないに関係なく、救急患者を受けられる病院が少ない。医療崩壊は決して都市部の話ではなく、いわきでも起きています。

 

Q.先日、他県では自宅療養中の妊婦さんが救急搬送を希望したにも関わらず、受け入れ先が見つからず、赤ちゃんが亡くなったというニュースもありました。いわきでも十分起こり得る話ですよね?

A.もう、いつ起きてもおかしくないです。特に夜間帯などはコロナ疑いのある患者に対応できない病院も多いので、陽性者となればなおさら搬送先が見つかりません。この前あったのは、他院への入院が決まっていた自宅療養中の患者さんが夜間に症状が悪化して、救急搬送を希望。本来なら入院予定先の病院に搬送されるべきですが、「夜間帯に陽性者の対応はできない」ということで、医療センターに救急搬送となりました。

 

Q.医療センターには陽性者が搬送されてくることも多いですか?

A.非常に多いです。ここまで感染が拡大する前は、陽性者は全員入院していましたが、今は病床利用率が100%を超えることもあるぐらい、重症患者でさえも入院できるかわかりません。ホテル療養・自宅療養となっている陽性者も現時点で400人を超えています。PCR検査の結果が陽性でも、無症状・軽症の方もいますが、なかには「高血圧」とか「肥満」とか重症化リスクが隠れていた患者さんもいて、夜中に突然、症状が悪化して救急搬送を希望するということが増えています。陽性者を受け入れられる病院が少ないので、医療センターに集中している状況です。

 

Q.コロナ禍の救急対応で最も大きく変わったことは何ですか?

A.処置以外の部分に、ものすごく時間がかかります。市内で感染者2~3人程度の時には、発熱や息苦しさがある患者にのみ、PPE対応でしたが、今は全患者に対してフルPPEです。感染を防ぐため、1人の患者の処置が終わったら、防護具を全て脱ぎ、新たな防護具を身につけての対応。PPEが最優先なので、処置に遅れが出てしまうこともあります。

※PPEとは…個人防護具のこと。キャップ、ゴーグル、N95マスク、フェイスシールド、ガウン(エプロン)、手袋、シューズカバーなど。

 

Q.交通事故などが原因で、あきらかにコロナではない場合でもPPEですか?

A.全患者が対象です。ここまで感染が拡大しているので、交通事故や骨折など、症状自体はコロナと無関係でも、「同居家族が陽性だった」「濃厚接触者に指定されている」という可能性が十分あり得ます。以前、コロナ以外の症状で救急搬送された患者さんに、防護具などは身に着けず、通常の処置を行いました。後になってから、その患者さんが陽性だったと判明し、処置にあたった医師や看護師が自宅待機となったケースがありました。患者数が増えているなかでスタッフが減ってしまうのは、かなりの痛手です。PPEは必須となっています。

 

Q.市民に対して伝えたいことがあればお願いします。

A.医療現場も介護現場も、みんな本当に頑張っているし、いろんなことを我慢して耐えている人も大勢います。ただ、県内でも「バーベキュークラスター」などがありましたが、「ゆるみ」を感じる時はあります。実際に患者さんから「お盆で100人ぐらいと行き会った」「陽性だったことを隠して部活の練習に参加した」なんて話も聞きました。最初に説明しましたが、もう当たり前に受けられたはずの医療は受けられません。ワクチンを接種しても感染した人もいるように、100%感染予防できる方法がないからこそ、感染リスクが高い行動を避けてほしいです。この状況を変えるためにも、もう一度自分の行動を見直してください。

 

 

岩井淳一医師

(プロフィール)

金沢医科大学卒業後、同病院救命救急科での勤務を経て、2015(平成27)年より山内クリニック勤務。2011(平成23)年に発生した東日本大震災ではDMATとして宮城県に派遣された経験を持つ。現在は、外来診療・訪問診療のほか、「いわき市医療センター」の救命救急センターの非常勤医としても勤務しており、救急から看取りまで幅広く対応している。

詳細は医師紹介ページ⇒https://iwakikai.jp/doctors/#iwai_jun

 

<関連記事>

「東日本大震災から10年・DMATで医療支援した医師の岩井にインタビュー」

「救命救急センター長に聞く”救急現場の声”」

訪問診療の場で頂く言葉「ありがとう」

水中で溺れたときの心構え「ういてまて」

「コードブルー」