いわき市平地区の医療・介護関係者が情報交換する「平在宅療養多職種連携の会」が、このほどオンライン上で開かれました。通所リハビリテーションの理学療法士が、患者様の職場復帰を支援する事例を発表。心身機能の回復だけでなく社会参加までを考えたリハビリの取り組みを聞き、参加者はリハビリ職の役割に理解を深めました。
● 「心身機能」「活動」「参加」の視点
医師、歯科医師、薬剤師、リハビリ職、介護支援専門員(ケアマネジャー)、訪問の介護職員、地域包括支援センター職員ら30人が参加。9月15日に開催されました。発表者は、座る立つ歩くといった「心身機能」、食事排泄入浴といった生活の質を高める「活動」、役割を持って社会で生活する「参加」の各アプローチで生活機能を改善するリハビリの役割を説明しました。事例で紹介したのは「仕事に復帰したい」「歩けるようになりたい」と希望する若い男性。「心身機能」では会社での階段昇降を見すえた歩行訓練、「活動」では自宅や職場で支援を受けられるようご家族への介護指導、「参加」では仕事ができるよう書字とタイピングの練習という、3つのアプローチで、希望の実現を目指しました。
● 患者様も意欲的に
発表者はその3つのアプローチで実施したリハビリをそれぞれ紹介。歩行や階段昇降のリハビリでは動画で説明しました。患者様は当初復職の意識が低かったようですが、次第に前向きな発言も出るようになった意欲の変化もあったといいます。発表者は「まだ業務参加の獲得は未達成ですが、『心身機能』『活動』『参加』に焦点を当てたリハビリを提供して力になっていきたい」とまとめました。
● 通所施設でも訪問する重要性
発表を聞いたケアマネジャーは「本人とご家族の希望や実現に向けた課題も確認しながらリハビリをしていて、本人との信頼関係が築けているように感じて素晴らしいと思った」と感想。通所施設にも関わらず訪問してご家族に介護指導する姿勢に感心した声も出て、発表者は「聞いた話と実際に見た家の環境が違うケースがある。『参加』のアプローチをするにあたり、訪問をしないと情報が足りない」と答えました。そのほか、デイサービスの職員から「『参加』までご家族を巻き込んで支援しているのが勉強になって、通所リハビリの役割も学んだ」、薬剤師から「薬剤師は患者様の目標まであまり気が回らないが、今後は地域包括ケアの一員として共有できたらと思う」といった意見が出ていました。多職種連携の会の山内俊明会長(医和生会山内クリニック院長)は「リハビリでこういうことができるなということが想像できた。ケアマネジャーやデイサービスの方がこういう想像ができることは次の展開につなげられると思う」と事例を学ぶ大切さを呼び掛けました。
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