いわき市平地区の医療・介護・福祉関係者が情報交換する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開かれました。歯科関係者以外の方でも口腔の健康状態を評価できるよう、発表者の歯科医師がチェックシートを使った方法を紹介。介護職員でも簡単にご利用者様の口腔ケアをチェックできるコツを学びました。
● 25人が聴講
医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護職員など25人が参加。2月15日に開かれました。発表した歯科医師は「チェックシートを使って健口状態を数値化してみましょう!」と題して講話しました。歯科医師は「口の健康は高齢者の健康増進や自立支援につながる」「介護施設での口腔衛生の管理体制が求められるようになっている」と重要性を訴えました。
● アセスメントシート「OHAT」
歯科医師は口の中の異常の状態を紹介。歯の痛み、出血、歯ぐきの腫れ、冷たいものがしみる、入れ歯が合わないといった様々な例を挙げました。さらに、介護職員が利用者の口腔状態を評価するため、歯科医師や歯科衛生士に依頼もできるが、訪問歯科医が少ない課題を指摘。そこで仲間同士で相談し合って使える評価方法「OHAT」を紹介しました。
「OHAT」とは「Oral Health Assessment Tool」の略で、口腔の健康状態を簡易に評価するアセスメントシートと説明。「口唇」「舌」「歯肉・粘膜」など8項目ごとに「健全」「やや不良」「病的」の3段階でスコアを付けて使います。
歯科医師は、コロナ禍前にこのシートを介護施設に1年間利用してもらったケースを紹介。当初は職員2人が利用者1人につき5分くらいチェックに要していたのが、慣れると職員1人で2分ぐらいでできるようになったといい、このシートの利用で悪化に気づいて来院につながったケースもあったといいます。
● アセスメントの体験も
項目ごとに評価のチェックポイントも紹介。「舌」の場合は舌苔、出血・病的状態などを見てスコアを判断するように、各項目ごとに評価ポイントを解説していきました。判別つかない時は「スコア1(やや不良)」とし「簡単に考えていくとやりやすくなる」と繰り返し強調しました。参加者がグループに分かれ、実際の患者の口腔内写真を見て「OHAT」でのアセスメントを体験する時間も設けられました。
● 介護報酬の改定も学ぶ
施設ケアマネジャーが「訪問歯科医師を探している」と協力を呼び掛け、アドバイスをもらいました。発表後、別の歯科医師が今年の介護報酬の改定に関し、歯科医療に関するポイントを解説し、参加者が注意点を確認しました。多職種連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)は口腔ケアの重要性を話し「これからも情報の提供をよろしくお願いします」と発表者に感謝の言葉を送りました。
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